【プロが解説】FE100-400mm F4.5-5.6 GM OSSを現役カメランが実写レビュー。使って感じた「解像度」と「ボケ」の究極の両立

はじめに

 今回は、SONY純正ラインナップでもハイエンドモデルとして展開されているG Masterシリーズのうちの1本、SEL100400GMについて紹介する。

G Masterシリーズの括りでは最も長い焦点距離のレンズで、中望遠〜超望遠域画角までのズームが可能なレンズだ。もっぱら、遠くの被写体を狙う撮影において肉眼では見ることのできない世界を映し出すことができるレンズと言える。「解像とボケの究極の両立」をコンセプトとするG Masterを冠する本レンズ、描写性能はもちろん、取り回しや操作感含めて作例とともに紹介させて頂く。

基本情報

 詳しい製品情報については公式HPの閲覧をお勧めする。基本的な仕様・スペックは下記の通り。

主な仕様
 • SONY Eマウント用 (フルサイズ対応)
 望遠ズームレンズ (焦点距離 100 400 mm)
 開放F値 4.5 5.6
 最短撮影距離 0.98 m
 • AF機能搭載
 光学式手ぶれ補正

 

 SEL100400GMは絞り開放F4-5.6/焦点距離100-400 mmの超望遠ズームレンズ。レンズ構成は1622枚。ED(特殊低分散)ガラスx2枚とスーパーEDガラスx1枚の計3枚の低分散ガラスが組み込まれており、望遠域で顕著になる色収差補正は設計面で対応されている。加えてSONY独自技術であるナノARコーティングが採用されており、不要な反射を低減させることでフレアやゴーストの発生を抑制し周辺までクリアに描写することができる。絞り羽根9枚の円形絞りで、玉ボケの表現にも期待。高スペックモデルの標準装備であるAF機能、光学式手振れ補正搭載で、それぞれのON/OFFスイッチに加えフォーカスレンジリミッターと手振れ補正MODE切替スイッチが備わっている。更に本レンズは同社製の1.4倍、2倍テレコンバーターに対応しており、これらを用いることで最大焦点距離800mmまで撮影が可能だ。 

迫力と貫禄のデザイン 

 パッケージはSONY G Masterシリーズで統一された黒箱。付属の専用ソフトケースは化学繊維製だが作りはしっかりしており、そのまま持ち運び用として利用しても問題なさそうだ。レンズ本体の梱包状態は丁寧で、品質の高さは言わずもがな。

 他のSONY製レンズと異なり、本体の大きくなる望遠レンズ特有のライトグレーを基調とした塗装が施されている。ご存知ない方に向けて簡単な解説をさせて頂くと、望遠系のレンズで白系の塗装を用いる理由は熱負荷の低減であり、その起源はCanonの望遠レンズである。原理上の兼ね合いで大型になってしまう望遠レンズは、表面積増大に伴って日照下では熱を溜めやすくなるため、通常の黒塗装だと故障や誤動作を起こし易い。また、黒色塗装の目的である映り込み防止について、望遠域では被写体との距離が遠くなるため起きにくくなることも、白色塗装が用いられる理由の一つだ。明るい色はチープな印象になり易いが、本レンズにおいてはマットな質感のテクスチャ塗装により安っぽさはなく、大きさと相まって高級感を感じる外観。レンズフードは樹脂製だが、同様の塗装により一体感があり、黒い縁取りによりメリハリのあるバランスの取れたデザインだ。

 超望遠域をカバーするズームレンズであるため、その大きさは迫力と安心感を感じる巨大さ。第一印象としては携行性の悪さを考えずにはいられないが、そもそも望遠ズームレンズであることを考えると「こんなものだろう」とも思うところだ。

レンズ単体で圧倒的な存在感を持つ大型レンズ。ただ大きいだけではなく、凄みを感じる1本だ。

 最大直径φ93.9mm、全長205 mmとボディ装着時の存在感は圧倒的で、標準〜中望遠のレンズを見慣れている筆者としては、ボディとのバランスに違和感を覚える大きさ。重量は三脚座未装着で約1395g。大きいペットボトルまではいかないもののほぼ同等の重量であり、手持ち撮影したい場合には筋トレが必要だろう(むしろ筋トレに使えそうだ)。とは言え手振れ補正が備わっていることを踏まえると、両手構えであれば持てる重量感ではあるので手持ち撮影も不可能ではない。一応、ストラップで首から下げることも試したが、見た目そのままの重量感がある上にかなり大きく、この状態での移動は不安しか感じない。携行性の観点ではワースト級の評価と言えるが、三脚使いを前提とする望遠レンズなので問題ではないと言える。

 フォーカスリングとズームリングは程よい太幅のラバータッチな材質で作られており、グリップ感は丁度良い持ち味。鏡胴側面には各種機能スイッチが備わり、塗装色と相まってどことなく宇宙船のような印象を感じる。

機能と操作性

 圧巻の迫力ボディを持つ本レンズ、ただ大きいだけではなく多くの機能が備わっている。AFは、電圧負荷に対して物理的な力を得る逆圧電効果を利用したダイレクトドライブSSM(Supersonic wave motor)方式と、電磁駆動により非接触状態でレンズ駆動させるダブルリニアモーター方式を採用しており、素早く高精度で静粛な駆動が特徴だ。

 鏡胴サイド部分には4つのスイッチが備わっており、上から順にAF/MF切替スイッチ、フォーカスレンジリミッター、光学式手ぶれ補正ON/OFFスイッチ、手ぶれ補正MODE切替スイッチとなっている。MODEはそれぞれMODE1:通常の手ぶれ補正、MODE2:流し撮りに最適化された手ぶれ補正となっている。

 望遠レンズ特有と言えるのがフォーカスホールドボタンの数だろう。SONYレンズで通常配置されているサイド部に加えて上部と下部にも備わっており、縦構図を狙う際のカメラボディ回転方向にかかわらず、常に左サイドにボタンがくるような設計だ。

 フォーカスリング、ズームリング共に滑らかに動作する印象で、指先での微妙な調整も直感的に行う事ができる。フォーカスリングは電子的にモーター駆動させる方式だが、筆者の体感では気になるタイムラグはなかった。

 ズームリングに関して言うと、ズームリングの操作感を調整するリングが備わっており、回転の重さを選択する事ができる。文字通りTIGHT側では動きが鈍く、SMOOTH側では軽い動作となる。ちなみにSMOOTH側に調整している際は、レンズを下に向けるとレンズの自重で前玉が繰り出してしまうが、TIGHT側に設定すると解消される。運搬時はTIGHT側に設定しておくのが吉だろう。

 ズーミングは前玉移動方式で前方に繰り出すタイプ。テレ端400mm時は非常に長くなる印象で、近距離撮影の機会が少ないとはいえ前玉の衝突に気を配ってしまうような大きさとなる。

実写レビュー

 本レビューではカメラボディにα7RⅡを使用して撮影。航空機撮影をはじめポートレートにも挑んだ。なお、作例は全て撮って出し、ピクチャープロファイルやクリエイティブスタイルはいじらず、ボディ側設定のレンズプロファイル補正はOFFとなっている。

ボディはSONY α7RⅡを使用。三脚に乗せた状態をメインに手持ちでの撮影にも挑んだ。

 さっそく望遠レンズの必修課題、航空機撮影に挑んだ作例。先ずは離陸する旅客機を狙った一枚。離陸に向けて加速する機体を三脚でパンで追いながら撮影した。テレ端に近い焦点距離360mm画角のため、カメラの向きに対する画角の振れが大きく、取り回しの悪さを加味すると手持ちでの動体撮影難易度は高そうだ。日中でAFの動作速度は十分速く、200km/h以上まで加速する航空機にも瞬時に合焦し、合焦精度も等倍表示で気にならないほど正確だった。絞りF8に絞った設定でも周辺減光は見られたが、ボディ設定でのレンズ補正や現像ソフトにより補正が可能だ。                               


360mm ISO400 F8 SS1/1600


400mm ISO400 F8 SS1/1600

 ディティールの解像についてもう少し詳しく。テレ端400mmで移動中の航空機を正面から捉えた作例。機体の艶や陰影のコントラスト、色乗りまでよく描写されているが、等倍表示した時の解像感は驚くほど高い。ボディに高画素機を用いている恩恵もあるが、望遠になる程顕在化し易い緒色収差は一切見られず、操縦席の窓枠やワイパーのディティールからパイロットの顔までよく解像されている。


400mm ISO400 F8 SS1/1600


拡大画像

 航空機撮影に挑むカメラ人らを撮影した1枚。逆光シチュエーションでかなりアンダーに撮った作例のため分かりづらいが、ボケ表現は前ボケも後ろボケも均等で柔らかい印象で、合焦位置からボケまでの描写は非常に滑らかだ。また、シャドウ域の暗部コントラスト表現も優れており、合焦しているカメラレンズの細かい部分までよく映し出されている。


300mm ISO400 F8 SS1/1600

 京都は伏見稲荷にて、圧縮効果による「密」表現を狙った作例。テレ端400mmでの圧縮効果は凄まじく、実際はかなりの距離がある参道も手前と奥が近く感じるような印象的な描写となっている。今回は試していないが、真っ直ぐな道やビル群などを狙えば、絵画的で面白い画が撮れるだろう。色乗りはニュートラルな印象だが、赤は気持ち鮮やかに映るイメージが筆者には感じられた。


400mm ISO400 F5.6 SS1/200

 超望遠画角は人の肉眼では見えない世界を映し出す事が可能だ。テレ端400mmで地上から京都タワーの展望台を狙った作例。肉眼ではなんとなくの形までしか分からないような距離からでも、格子のディティールや外壁のわずかな汚れ、展望台の中の人々まで映し出されている。超望遠域までズームできる本レンズの大きな特徴の一つで、距離の離れた被写体を狙うスポーツ撮影や野鳥などを狙う野生動物撮影において十分に有用な焦点距離だと感じた。また、望遠画角で発生しやすくなる色収差は、今回の実写トライでは見られなかった。


400mm ISO400 F5.6 SS1/400

 本レンズを用いて撮影する機会はそう多くないと思われるが、ポートレート作例も載せておくのでご参考まで。合焦しているモデルの表情や着物の生地感が伝わってくるような高い解像感で、毛髪の11本まで精細に映し出されている。細い線描写だがギラつくような絵にはならず、人物撮影においても高い表現力があると言える。合焦部の高い解像感に対して、望遠域ならではの大きなボケは滑らかで素晴らしく、良いバランスで被写体へ印象を持たせる事ができる。色乗りに極端な印象はないが、肉眼で見たそのままを表現しているイメージで、濃色・淡色どちらも良く描写できている。なお、テレ端400mmではモデルとの距離がかなり遠くなるため、意思疎通には大声を出すか通信機器の補助が必要になる。


400mm ISO400 F5.6 SS1/100


135mm ISO400 F5 SS1/100

まとめ

 今回はSONY G Masterシリーズの望遠ズームレンズ「SEL100400GM」について、作例と共にレンズの特徴について紹介した。

 SONY純正の中でもプロユースに応えるG Masterシリーズというだけあって、シャープで高い解像感と柔らかく滑らかなボケ表現がバランスよく両立しており、その描写力は圧倒的と言える。今回の実写トライでは、望遠域で目立つことの多い軸上色収差や倍率色収差はほとんど見られず、低下しがちな周辺の解像感も文句なしに描写されていた。超望遠域までをこれだけ高い描写性能で撮影する事ができる本レンズは、趣味で航空機・鉄道を狙う方からプロで野生動物を狙うような方まで幅広い方にお勧めできるレンズと言える(値が張る品なので中々手が出しづらい点は否めないが)

 一方で、大型重量級が故の携行性の悪さは理解しておかなければならないだろう。今回の実写トライ、本レンズを使用しない時はバックパックに入れて背負う形で運搬していたのだがまぁ重たい。通常の荷物に本レンズ1本が加わるだけで体感ですぐに分かるくらい重量が増すイメージだ。高い描写性能を持つ良くできた1本だが、移動をメインとした撮影に持っていくには覚悟が必要だ。

他の作例

 

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