【プロが解説】ソニーのFE85F14GMを現役カメラマンが実写レビュー。「神レンズ」と評されるこのレンズの実力とは?

はじめに

 今回は、SONYのレンズラインナップの中でもハイエンドモデルとして展開されている「G Masterシリーズ」の単焦点レンズ、SEL85F18GMについて紹介する。中望遠85mmという焦点距離、各メーカーが用意していることから伺えるように需要の高いレンズで、メイン用途としてはポートレートが挙げられるだろう。とは言え、筆者の所感ではスナップにも使い勝手の良い画角という印象があり、「神レンズ」と評される本レンズが一体どんな描写を見せてくれるのか非常に楽しみである。「G Master」シリーズのコンセプトである高い解像感と美しいボケの両立に注目しつつ、表現力や操作感について作例とともに紹介していく。

基本情報

 詳しい製品情報については公式HPへ。基本的な仕様・スペックは下記の通りだ。

主な仕様
 • SONY Eマウント用 (フルサイズ対応)
 単焦点レンズ (焦点距離 85 mm)
 開放F値 1.4
 最短撮影距離 AF時:0.85 mMF時:0.80 m
 • AF/MF切替スイッチ付き
 フォーカスホールドボタン付き

 

 SEL85F14GMは絞り開放F1.4/焦点距離85mmの中望遠単焦点レンズ。レンズ構成は811枚。ED(特殊低分散)ガラス3枚が最適な配置で組まれており、大口径望遠レンズで発生しやすくなる軸上色収差は設計面で軽減されている。加えて大口径の超高度非球面XA(EXtreme aspherical)レンズが採用されており、非球面レンズの背反である点光源の輪線ボケの発生を抑える設計となっている。XAレンズは設計公差を極めて小さく(HP表記ではなんと10nmオーダー)設定する事で、高い解像力と美しいボケ表現の両立を図っている。また、SONY独自技術のナノARコーティングが採用されており、不要な反射を低減させることでフレアやゴーストの発生を抑制し周辺までクリアな描写が期待できる。絞り羽根は11枚で円形絞り。絞った撮影でも自然なボケ表現が期待できる。もちろんAF機能は搭載。一方、手振れ補正機能は未搭載なので、ボディ側に手振れ補正のない機種を持ってくると手持ち撮影では影響が出るシチュエーションもありそうだ。レンズ鏡胴にはAF/MF切り替えスイッチ、フォーカスホールドボタン、絞りリングのクリック切り替えスイッチが備わっている。 

図太くデカいデザイン

 パッケージはSONY G Masterシリーズで統一された黒箱。G Masterシリーズに付属する専用ケースは、そのまま持ち運び用として利用できる様なしっかりとした造り。レンズ本体の梱包状態は丁寧で文句なしの品質の高さだ。

 レンズデザインはSONY製レンズで統一された黒基調のテクスチャ塗装によりマットな質感、鏡胴はマグネシウム合金製で高級感がある。レンズフードは樹脂製だが、本体同様の塗装により一体感があり、裏地にはファブリック感のある素材が用いられており安っぽさは感じない。諸スイッチ類もよく作り込まれており、値段相応の高い仕上がりだ。

 そして大口径単焦点ならではの本体のデカさ。標準域のキットズームレンズと見紛うような大きさで、「所有の満足度」が高く持っていてワクワクする1本だ。この手のレンズは、性能の高さを軸においた設計思想のもと開発されているだろうから敢えて言うまでもないのだが、携行性は良いとは言えない。


大口径単焦点レンズ特有の「高級レンズ」を感じさせる本体デザイン。

 最大直径φ89.5mm、全長107.5 mmと大口径レンズなりの巨大さ。大きさの割にボディ装着時のバランスは良い印象だ。重量は約820gで、ボディと合わせると約1.5kg。メンズは余裕で片手持ちが可能な重量だが、重心が若干前寄りにあるのか構えると多少のしんどさを感じる。一方で、ストラップで首から下げてた際は重たい感覚はそこまでなく、ある程度長時間の首下げなら疲れなさそうだ。携行性の観点では決して良いとは言えないが、そもそもそこに注力したレンズではないことはご承知のとおり。筆者の感覚では、旅行に持ち歩く選択肢としてギリギリのサイズ感だが、ちょっと出かけてスナップしたい時なんかは持ち出す頻度が高そうだ。

 フォーカスリングは程よい太幅のラバータッチな材質、程よくグリップ感があり感触は良好。鏡胴側面には各種機能スイッチが備わり、塗装色と相まって醸し出す無骨な雰囲気は、男受けの良さそうな外観だ。

機能と操作性

 所有の満足度に加えて搭載する機能も必要十分だ。フォーカス方式はインターナルフォーカシングを採用しており、大口径な本レンズでも全長変化なく合焦できる。アクチュエータにはリングドライブSSM(supersonic wave motor)を採用、加えて2つの位置センサが用いられており、浅い被写界深度でのシビアな合焦を実現している。一方でAF速度は若干遅い印象があり、駆動時の動作音も少し気になる印象がある。絞りリングのクリック調整が可能ではあるが、映像撮影においては状況によって嫌な場合もありそうだ。

 鏡胴部分にはスイッチ類が配置されており、カメラを構えて左側にAF/MF切替スイッチが、右側にフォーカスリングのクリック調整スイッチがそれぞれ備わっている。また、これらスイッチ類の反対側側面には絞りリングのクリック切り替えスイッチが備わっている。写真撮影でファインダーを覗きながらの撮影ではブラインドでも体感で調節できるクリックON、動画撮影でシームレスにスイープさせたい様なシチュエーションではクリックOFFなど、撮影状況に合わせた設定が可能だ。

 鏡胴側面にはフォーカスホールドボタンが配置されており、他の機能を割り当てるカスタマイズが可能だ。

 フォーカスリングは滑らかに動作する印象で、指先での微妙な調整も直感的に行う事ができる。フォーカスリングはリニア・レスポンスMFが採用されており、機械的に連動させるリングに近い感覚で繊細で直感的なフォーカス合わせが可能。筆者としては、リニア・レスポンスではないレンズでもそこまで遅延を感じることはないのだが、本レンズのリアクションは確かに良いと感じた。

実写レビュー

 本レビューではカメラボディにα7Ⅲを使用して撮影。街中でのスナップを中心に実写トライに挑んだ。なお、作例は全て撮って出し、ピクチャープロファイルやクリエイティブスタイルはいじらず、ボディ側設定のレンズプロファイル補正はOFFとなっている。


ボディはSONY α7Ⅲを使用。手持ちでのスナップを中心に撮影に挑んだ。

 先ずは絞り開放での美しいボケ表現が伺える作例。ボケ表現にうるさい印象はなく、柔らかく滑らかに滲むような描写で、合焦部の被写体をうまく際立たせるような写真が撮影できる。MTF曲線では絞り開放時の解像感に劣りそうではあるものの、筆者の所感では十分に解像されている印象だ。本レンズの最短撮影距離は0.80mと、あまり「寄れる」レンズとは言えないが、85mmという焦点距離の恩恵と絞り開放F1.4という口径の大きさにより比較的離れた被写体を狙ってもかなりボケるので、ボケを生かした写真に強いレンズと言える。


ISO100 F1.4 SS1/160


ISO100 F1.4 SS1/1000

 非常に美しいボケを作り出す絞り開放設定での撮影において、本レンズにはネガもありそうだ。葉付きの良い樹木を逆行に近いシチュエーションで撮影すると、比較的激しめのフリンジ発生が見られた。拡大すると顕著に見られ、そのままのサイズでも少し気になるくらいに発生している印象だが、外れ玉の可能性もあるので他のレビューもご覧いただいた方がいいかもしれない。


ISO100 F1.4 SS1/1600


拡大画像

 絞り開放F1.4で日の丸構図を狙った1枚。前述の通り、AF性能に関しては決して速いとは言えないが、開放F.4と被写界深度の相当浅い設定でも狙った位置に正確に合焦する印象がある(たまに行ったりきたりする事があるが、愛嬌があるとも取れなくはない)。開放設定では周辺減光が気になるが、デジタル時代の現在、補正はいくらでもやりようがあるのであまり気にする必要はないだろう。


300mm ISO400 F8 SS1/1600

 わざと逆光のキツい画角で撮影した1枚。絞り開放F1.4という設定もあり少しフレアの発生が気になるが、顕著なゴースト等は見られず、ナノARコーティングの恩恵もあり逆光耐性は低くなさそうだ。また、ヒストグラムでいう両端のコントラスト表現は細かく、特にシャドウ側の描写に強い印象があった。


ISO100 F1.4 SS1/8000

 スナップ向きとなると一般には35mm50mmくらいの焦点距離が代表的だが、筆者の好みではなるが85mmもスナップに面白い画角だ。人の視野に近いとされる50mm付近の画角では文字通り「見たまま」に近い構図での撮影が「素早く」行えるが、中望遠域でのスナップではある部分を切り取って強調するような印象的な写真が撮影できる。慣れないうちはファインダーを覗いた際に被写体の近さを感じるが、画角の感覚が分かってくると一味違った景色が見えてくるのでお勧めしたい。


ISO400 F5.6 SS1/400


ISO400 F5.6 SS1/400

まとめ

 今回はSONY G Masterシリーズの中望遠単焦点レンズ「SEL85F14GM」について、作例と共にレンズの特徴を紹介した。

 SONYのレンズラインナップでもプロユースに応えるG Masterシリーズというだけあって、合焦部の写りは高い解像感があり、柔らかく滑らかなボケ表現はムラなく美しく表現されている印象で、描写力の高いレンズであることは間違いない。今回の実写トライでは85mm単焦点で利用頻度の高いポートレートには挑めなかったものの、絞り開放での柔らかいボケや合焦部の高い解像感から人物撮影に非常に強いレンズであると感じた。また、絞り開放F.4と非常に明るいレンズである事から、室内や夜などの暗いシチュエーションで大いに活躍するレンズと言えるだろう。85mm単焦点レンズは選択肢も多く、コストとの兼ね合いでお勧めできる物は変わってくるが、ポートレートをメインにボケを活かした写真を好む方には是非1度試してもらいたい1本だ。

 一方で、AFの遅さや色収差の発生などが見られ、気になる人には苦しいところだ。とは言え、モノの製造には必ずバラツキが存在し「ハズレ玉」を掴む可能性はゼロではない。レビュー記事1本に頼らず、いろいろなコンテンツで情報を集める事が大事なので、本レビューも参考文献の一つとして捉えていただけると幸いである。

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