【プロが解説】DJI Osmo Pocketを現役カメラマンが実写レビュー!江ノ島での作例から使い方まで徹底解剖!

はじめに

 今回は201811月に発表されたDJI3軸スタビライザー搭載ハンドヘルドカメラ、「DJI Osmo Pocket」について紹介する。ドローンを主体にその名を馳せるDJIが提案する本製品は、アクションカメラやスマートフォンなど日常用途が得意な小型カメラと、性能を極めたプロ機のちょうど中間に位置づく様なカメラであり、手持ちのスマートフォンやコンデジでは物足りなさを感じ「ワンランク上」の表現を期待する層にもってこいだ。昨今では、スマートフォン用ジンバルなど既存デバイスに対してオプション的にスタビライズ機能を付与する製品も多く提案されているが、本製品の様な形は珍しく、コンパクトカメラ業界における新しい提案と言えよう。本記事ではその特徴や機能、使い方から使用感に至るまで、筆者の主観を交えて紹介していく。

1.Osmo Pocketとは?

 DJIは2005年、当時香港科技大学の学生だったフランク・ワンが創業した会社で、その始まりはフライトコントローラー(姿勢制御システム)。その後、業界初のオールインワンパッケージのドローン「PHANTOM」の発表で大きな注目を集め、のちに3軸ジンバルや自社製オリジナルカメラを搭載したドローン(恐らく多くの人がイメージする形)へと進化を遂げている。ドローンの印象が強いDJIであるが、空撮におけるスタビライズ機能の搭載など、動きのある環境で安定した映像を撮影する技術という面でノウハウを多く有しているであろうメーカー。そんなDJIが新たに提案する「コンパクトカメラ」が今回紹介するOsmo Pocketだ。

 Osmo Pocketは、日常用途を想定したコンパクトカメラであり、3軸ジンバル一体型であるという点が大きな特徴だ。 ロール軸(左右傾き)・ピッチ軸(上下)・ヨー軸(左右旋回)を高精度且つ高速でモーター制御することで、画角揺れを吸収、安定した画像や映像を気軽に撮影する事ができる。大まかなスペックは下記の通り。

・小型で軽量な本体(116g)
1/2.3インチ、有効画素数12MCMOSセンサー
・画角は25mm前後(35mm判換算)の広角
・ズーム機能なし
・静止画は4000×3000ピクセル
・最大で4K Ultra HD (3840×2160) 60pの動画撮影
・フル充電まで73分、稼働時間140(バッテリー内蔵型)
・記憶媒体はmicro SD
・参考価格:¥30,450 (2021年現在、Amazon価格) 

 尚、202010月に後継機となるDJI pocket 2が発売されており、本製品は型落ち品のため少し値下がりしている。スペック面での差としては、64Mまで増加したセンサー画素、撮影画角がより広角側に変化、スローモーションが4倍から8倍など。筆者の所感としては、日常用途でエントリー的に3軸ジンバルカメラの購入を考えるのであればOsmo pocketでも十分だと感じる。

2.デザインと機能 

小柄なボディ

 なんと言っても箱が小さい。3軸ジンバル搭載カメラが入っているとは思えないほど小さな箱に梱包されており、開けると付属品とともに綺麗に格納されている。内容はカメラ本体、専用の樹脂製ケース、スマートフォン接続用プラグが2種類(lightning、micro USB)、ストラップ、充電用USBケーブル。カメラ本体はレンズ部がむき出しの状態なので、持ち運びや使わない時には専用ケースが非常に便利だ。電源オフ状態ではカメラ部がフリーに動いてしまうため若干収納はしづらいものの、収まりは非常に良い。適度な剛性もあるため安心感があり、ケース収納時もコンパクトなのでそのままポケットに入れても良いだろう。

 大きさの比較写真を1枚。左からiPhone11(ケース付き)、Osmo pocket、300ccマグ。iPhoneとの比較が分かりやすいが、カメラ本体は非常に小柄で手のひらに収まるくらい。小さすぎると持ち辛くなることもあるが、持ち手は適度なグリップ感があり、諸々の操作系の配置もストレスがなくハンドリングは良さそうな印象だ。


左:iPhone11、中央:Osmo pocket、右:300ccマグ

実際に握った状態のイメージ。メンズだと下側が寸足らずになるが、本体が軽量なので持ち辛さや不安感は感じない。

本体外観について少し詳しく。デザインは比較的シンプルで、バッテリーと操作系を担うグリップ部とカメラ部から成る本体はナイロン製。樹脂製だが露骨な安っぽさはなく、適度にマットな質感とラバータッチなグリップパーツによりアクティブな印象がある。グリップ部裏面には撮影画面のモニタや設定の確認ができるタッチ液晶、その下に撮影/録画ボタンと電源が並んで配置されている。操作系は無駄のないシンプルな設計で、直感的な操作が可能だ。Osmo pocketの対応記憶媒体はmicro SD、グリップ部左側に剥き出しの形でカードスロットが配置されている。

3種類のジンバルモード

 Osmo pocketのスタビライザーには3種類の動作モードが用意されており、目的や撮影シーンに合わせて選択することができる。

1.フォローモード

 水平維持のみが作動するモード。普段動画を撮影する感覚で、グリップを撮影したい方向に向ければ、水平を維持しながらカメラもそっちを向くので、使用頻度は3つのモードの中でもダントツに高いだろう。普段感覚で撮影できるが、カメラの向きは手の動きに対してワンテンポ緩やかに追従してくるイメージで、スマートフォン動画では難しい「動きの滑らか」な映像が撮影できる。

2.チルト固定モード

 水平維持に加えてチルト方向も固定するモード。ピッチが固定される為、グリップを上下左右に傾けてもカメラは常に正面を向く。被写体を追う構図やウォーキングシナリオなどの前後の動きを表現したい時に最適だ。

3.FPVモード

 FPVとはFirst Person Viewの略で、「一人称視点」「最前列からの眺め」などを意味している。このモードでは3軸全て固定されないため、グリップの傾ける方向に関わらず画角が追従してくる動きのある映像が撮影できる。

3.操作ガイダンス

初期設定

 Osmo pocketは箱から開けていきなり使うことはできない。はじめに電源を入れると本体画面上に「機器が未アクティベート」と表示される通り、初期設定が必要だ。必要なものは以下3点。

 ・Osmo pocket本体(充電は済ましておく)
 ・スマートフォン
 ・スマートフォン接続用プラグ

 これらが準備できたら、下記手順の通りアクティベートする。

1.アプリの準備

 先ずは専用アプリ「DJI Mimo」を手持ちのスマートフォンにダウンロードする。アクティベートに必要なアプリだが、その他にもスマホ連携での撮影や撮影した動画の管理・編集・共有なども行うことができる。また、DJI Mimoの利用にはDJIアカウントが必要。他のDJI製品を所有していて既にアカウントがある場合はログイン、お持ちでない場合はアカウント登録をする必要がある。アプリを開いて右下の人物アイコンをタップすれば、ログイン・新規アカウント作成画面に移動できる。

2.スマートフォンへ接続

 次にデバイスの準備を行う。カメラ本体のディスプレイ下のプラグ取付部のカバーをスライドさせて外し、スマートフォンの仕様に合った接続プラグを取り付ける。プラグが装着できたら、DJI Mimoを開いてアカウントログインした状態のスマートフォンに接続する。

3.アプリでアクティベート

 スマートフォンに接続するとアプリ上に利用規約が表示されるので、内容を確認した上で「同意」をタップ。「機器情報を入手」をONにし、「次へ」をタップ。アカウント(メールアドレス)を再度

確認し、間違いがなければ「アクティベーション」をタップして完了だ。


スマートフォンに接続した状態のイメージ。

補足:アクティベート完了後、「新しいファームウェアバージョンを検出。更新してください」と表示される。ファームウェアのアップデートは非常に簡単で、本体をスマートフォンから取り外し、改めてDJI Minoを開くと「新しいファームウェアをダウンロードできます」と表示される。この表示の右側「ダウンロード」をタップすれば最新バージョンのダウンロードが始まるのであとは待つだけ。

撮影設定の仕方

 先ずはカメラ本体での操作について。利用頻度の高い基本操作は下記の通りだ。

電源のON/OFF :電源ボタン長押し。
撮影開始・停止 :録画/撮影ボタン。
写真・動画の切替 :電源ボタン1回押し。
カメラを中央に戻す :電源ボタン2回連続押し。
自撮り(カメラ180°回転):電源ボタン3回連続押し。

 撮影時の操作は液晶画面のタッチ・スワイプによるものが多い。

右へスワイプ:撮影データの確認や消去ができる。上下にスワイプする事で撮影データを選ぶ事ができる。

左へスワイプ:撮影モードの切り替え画面。上下にスワイプすることで写真・動画・スロー・タイムラプスなど、撮影モードの変更ができる。また、撮影モードが表示されている状態でさらに左へスワイプすると、撮影画質やフレームレートなどの詳細設定画面に移動する。

上へスワイプ:ジンバル操作画面に移動する。カメラをニュートラルポジションに戻したり、自撮り(180°反転)にしたりできる。加えてジンバル動作速度設定(低速・高速)とジンバルモード切り替え(フォロー・チルト固定・FPV)もできる。

下へスワイプ:撮影品質の設定、撮影する動画形式(MP4、MOV)、本体のリセット等をする時に使用。設定項目を変更する場合は、歯車の画面が出た後に左右へスワイプして、変更したい内容をタップする。

 スマートフォン接続時はアプリ上での操作が分かりやすい。スマートフォン内蔵のカメラアプリと比較的近いユーザーインターフェースとなっており、モード切替や簡単な設定類は直感的に操作できる。また、細かい撮影設定に関しては本体の小さいディスプレイで行うより圧倒的にやりやすいので、マニュアル的に撮影設定を決めたい場合にはスマホ接続での撮影がおすすめだ。また、スマホ接続時には撮影データの移行も可能で、プレビュー画面からダウンロードアイコンをタップするだけでスマホへの取り込みが始まる。

4.実用レビュー

動画編

 ここまで紹介してきた各種モードや機能について、実際に撮影した動画を元に実用感をお伝えしよう。カメラ単体での撮影も可能だが、詳細な撮影設定などはスマートフォン接続によるアプリでの操作が簡単だ。

 はじめに本機で撮影可能な最高画質4Kの動画を一つ。ジンバルモードはフォローモードで撮影。他のコンパクトカメラ同様、デフォルトのオート設定であれば露出を自動で合わせてくれるので手軽に撮影を楽しめる。夕暮れ前の明暗差がきついシチュエーション、白飛びも黒潰れも起きているが、露出は若干アンダー側に寄っている様に感じる。筆者の所感としてはGoProの自動露出に比較的近い印象があった。画質は必要十分なイメージで、スマホやタブレット、PCなんかで鑑賞する上で不満を感じるようなざらつきなどはなさそうだ。また、動画後半で少しパンしているが、一般的なコンパクトカメラやスマホの手持ち撮影では難しい「ジンバル特有」の滑らかな映像となっていることが分かる。

 操作説明で述べた通り、撮影中に画面上で被写体をタップするとトラッキングができる。歩く人物の撮影や子供など、動きのある被写体を撮影する時に非常に便利で、一度トラッキングしてしまえば後は適当に撮影していても満足のいく映像が撮れるだろう。強いて言えば、カメラ本体の小さい液晶では器用な人でないと操作が難しいので、トラッキング撮影時はスマホ接続がお勧めだ。

 スロー撮影もできるが、特に優れている点は浮かばない。フレームレートは最大60fpsで、一般的な動画で用いられる24fps再生時に2.5倍スローまでの撮影が設定できる。が、最近はスマートフォンが優秀であり、例えばiphoneでは最大240fps、24fps動画にして10倍スローまで撮影できることを考えると、スローモーションに強い印象はないと言える。

 Osmo pocketはタイムラプスも面白い。参考動画は固定撮影だが、スタビライザーがついているので手持ちでもある程度のクオリティでタイムラプスを撮影できる。特にこれを活用した「ハイパーラプス」撮影も可能で、移動時にまわしておくだけで印象的な映像を残す事ができる。一方で、スタビライザーによる滑らかな映像撮影が特徴のOsmo pocketも「縦ぶれ」には弱い。今回撮影したハイパーラプス映像が分かり易いが、手持ちで歩きながらの撮影では縦ぶれを拾ってしまう。Osmo pocketのジンバルは構造上1軸方向(前後、上下、左右)のブレは吸収できず、特に上下方向は水平線がもろに動くためいくら画角が広角といえど目立ってしまう。

 ここでジンバルモードの比較映像を幾つか。先ずは使用頻度の高いであろう「フォローモード」。場面は足の取られる砂浜、ゆっくり歩きながらの映像と少し走りながらの映像だが、一般的なカメラでの手持ち撮影では難しいような滑らかな写りが印象的だ。ゆっくり動かす分にはカメラは滑らかに追従してくる感覚で、パンをしても見易い映像が撮影できる。一方、走りながらの撮影のように速い動きに対しては、良くも悪くもクイックに画角が追従してしまい、持ち手の捻りに起因する横ぶれが気になる印象だ。

 チルト固定モードは「正面を向き続ける」という特殊な動作制御であるため、撮影意図がはっきりしている場合くらいしか出番はなさそうだが、筆者の個人的主観でいうと結構好きなモードだ。カメラのチルト(上下回転)方向の動作を制限するため、グリップが前後方向に傾いても正面を向き続ける。動作制御は良くできている印象で、後ろからの追い撮りや並走しての横アングルなんかが中々良いクオリティで撮影できる。

 FPVモードは映像をご覧の通り、特に軸制御がされないモードのため普通のカメラで撮影する感覚に近い。せっかくジンバルを搭載しているのであまり出番はないかもしれないモードだが、選択肢として用意されている分、表現の幅は広がると言える。

写真編

 Osmo pocketは動画だけでなく写真も撮影できる。これが「使える」かどうかは人によるところだが、広角レンズ特有の広さを感じるはっきりとした写真が撮れる。サイズとしては4000x3000pixcelの写真を撮れるが、センサーサイズの小ささ故、画質面ではスマートフォンで撮る写真と然程変わりはない印象だ。一方で、スタビライザーを搭載している利点は写真撮影にもあり、何も考えずにカメラを向けても「水平」を取れるので見易い写真が量産できる。撮影中に画角を移動させるパノラマ撮影で特に優位だと感じ、スマホでのパノラマほど気張らず手軽に撮影する事ができる。

5.メリットとデメリット

メリット

 Osmo pocketの強みは「コンパクトさ」だ。ジンバルに関して言うと、昨今ではスマートフォンに対応した製品も多々あり、手が出ない様な高額な価格帯でもないので徐々に広がりを見せている印象だ。が、外付けタイプのスタビライザーはセッティングが中々面倒くさい。多くの場合折り畳まれているため、取り出す→広げる→スマホを取り付ける→電源ON→バランスを取る→撮影と、実際にカメラをまわし始めるまでの工程がそこそこ多く、「手軽感」に乏しいのが現状だ。Osmo pocketはと言うと、取り出す→電源ON→撮影と、動画撮影までのプロセスが圧倒的に少なく、「撮りたい」と思った時にその場ですぐ撮影を始める事ができる。カメラ業界においてスタビライザー自体に目新しさはないものの、ここまで手軽に使える製品はそう多くなく、Osmo pocketの大きな強みだと言える。

デメリット

 映像のクオリティやパフォーマンスにおいては、少し惜しい部分もある。市場で競合になるのは、同じくコンパクトでクオリティの高い映像撮影を売りにする「GoPro」。アクションカメラの代表格GoProと比較すると、映像表現においては劣っていると言わざるを得ない。加えて縦揺れや横揺れに弱いOsmo pocketに対して、電子手ぶれ補正を利用するGoProはこの点も良くケアされている。唯一勝てそうな水平維持性能についても、GoPro最新作Hero 9ではソフトウェア処理による水平補正が可能になっていることから、大きな優位点とはならなさそうだ。

 また、「タフさ」と言う点でもOsmo pocketは少し心許ない。アクセサリーとして防水ケースなどの用意もあるが、単品で水深15mまで耐えるGoProと比較してしまうと、惜しい感じがしてしまう。

6.まとめ

 今回はDJIがリリースする3軸ジンバル搭載のコンパクトカメラ「Osmo Pocket」について、基本的な情報から実用を踏まえての所感まで紹介してきた。

 マス層向けのカメラにおいて筆者が最も重要だと思う要素が「持ち出しやすさ」だ。スマートフォンの台頭により淘汰されつつあるコンパクトカメラ業界において、この点は重要且つ厳しい要求となるが、スマホ+αで持ち出してもらう為には「コンパクトさ」と「性能の高さ」という相反する2つの要素を両立できるかどうかが大きな鍵であると思う。これに対し今回紹介したDJI Osmo Pocketは「小型」で「3軸スタビライザー搭載」と、うまく付加価値を見出した製品であり、市場でもその効果は現れていると言えよう。

 実際に使ってみて強く感じたのは、スタビライズされた安定感のある映像をバシバシ撮れる楽しさだ。昨今のスマートフォンは非常に優秀であり、カメラとしても必要十分な性能を有しているものの「動画」では痒い部分もまだある。良くも悪くもスマートフォンや一般的なコンパクトカメラは向きの変化に敏感で、余程注意を払った撮り方をしない限り手ぶれの発生は避けられない。普段の生活で撮影する映像のクオリティを気にする方はそう多くはないかもしれないが、映画やドラマの様な「プロっぽい」映像が手軽に撮影できる本製品は、動画を撮る楽しさを教えてくれるだろう。

 

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